※本プロジェクトはすでに終了し、一部を「インターネットと宗教」プロジェクトが引き継ぎました。
「宗教と社会」学会第3回学術大会において「情報時代は宗教を変えるか?」というテーマのシンポジウムが開催された。それに資料とコラムを追加し、『情報時代は宗教を変えるか− 伝統宗教からオウム真理教まで』(池上良正・中牧弘允編、弘文堂、1996)が刊行された。本プロジェクトはこのシンポジウムでの問題関心をさらに発展させるために立案されたものである。
現代をいかなる時代ととらえるかについては、ポストモダン、ポスト・インダストリアル、ポスト・コロニアル、ポスト冷戦、ポスト・バブルなど、ポストという形容詞つきの概念がおおいに流布している。これに対し、情報化、グローバル化、ボーダレス化、高齢化など、「XX化」という過程を重視する議論も活発におこなわれている。これらの立場においては、現代がおおいなる変化の過程にあることがつ よく認識されている。本プロジェクトも基本的にそのような観点に立ち、情報装置群のめざましい発達を背景に、感覚情報から文字情報にいたるまで、膨大な情報が地球全体にとびかう現代を、とりあえず「情報時代」として把握し、そのなかで宗教がいかに変化したかを実証的におさえるとともに、宗教がこれからどう変わっていくのかを理論的に検討しようとするものである。
対象とする宗教は伝統宗教から新宗教にいたる現代宗教のすべてであり、地域も日本にかぎらず全世界におよばざるをえない。とくに情報時代に特徴的と考えられる宗教現象には地域を問わず焦点をあてるとともに、その理論化をはかることが肝要である。先のシンポジウムでは、教団研究所の統廃合、パソコン通信、オウム真理教、おまじない、テレバンジェリズムなどの現象がとりあげられ、パソコミ、ヴァーチャル・レリジオナイゼーション、フロー、宗教情報編集型の宗教、地縁社会に密接しない宗教などの概念や枠組が検討されたが、それをさらに深化・発展させていくことが大切である。
中牧弘允(代表)、池上良正、生駒孝彰、石井研士、上田紀行、梅津礼司、葛西賢太、樫尾直樹、杉本良男 武田道生、対馬路人、三木英、望月哲也、深水顕真、弓山達也
連絡先:国立民族学博物館 中牧研究室
Tel. 06-868-8269(直)Fax. 06-878-7503(研究部)
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