「日本社会とキリスト教」プロジェクト

プロジェクト「日本社会とキリスト教」について

 本プロジェクトは、近代以降の日本におけるキリスト教を題材に、教義・思想・個別教会史レベルの研究に偏りがちであった従来の研究動向に対して、近代日本の歴史的・社会的・文化的文脈に即して、キリスト教が個々の聖職者や信徒/未信徒にどのように受けとめられ、理解され、実践されたか(されているか)という具体相を、丹念に検討した実証研究の蓄積を目指すプロジェクトとして企画された。 1999年6月の学会総会で承認され、2年間で9回の研究会を開いた。いずれの研究会も会員全員にオープンとして、非会員でも興味のある人には、自由な参加を呼びかけた。参加人数は平均して15〜25名程度で、いずれの回も活発な討論が行なわれた。2001年6月の学術大会での同名のワークショップを一応の総括として終了するが、その基本的問題関心は、新たに予定されているプロジェクト「社会的コンテキストの中のキリスト教」(仮題)において、発展的に継承されることを期待したい。

研究会の記録

第1回: 1999年7月3日(「新宗教研究」プロジェクトの例会と合同)

    尾本久美(大正大学大学院生)

   「日本における聖霊運動の展開 ----小岩栄光キリスト教会の事例を中心に」

    安藤隆(ICU大学院生)

   「異言を通じて構築されるアイデンティティとしての匿名性

     ----聖イエス横浜教会を事例として」

第2回: 1999年9月25日

     Mark Mullins Christianity Made in Japan の書評会

    評者:伊藤雅之(日本学術振興会) 小堀馨子(東京大学大学院生)

    応答:マーク・マリンズ(明治学院大学)

第3回: 2000年1月8日

    池上良正(駒澤大学)

    「 <あかし>に見る信徒たちの<救い>----大正期ホーリネスの事例から」

    一色哲(甲子園大学)

    「近代日本社会とリヴァイヴァリズムの諸相」

第4回: 2000年3月27日

   「日本社会とキリスト教」に関する社会学的研究のサーベイ

     ----成果と課題」

    発題者:川又俊則(成城大学民俗学研究所)  孝本貢(明治大学)

    コメント:西山茂(東洋大学) 磯岡哲也(淑徳大学)ほか

第5回: 2000年7月1日

    北川直利(聖霊女子短大付属高校)

    「教員の宗教意識調査に基づくカトリック学校の類型化

      ----キリスト教と「日本的」宗教意識の諸相」

    小原克博(同志社大学)

    「脳死・臓器移植をめぐる日本のキリスト教界の動向

      ----欧米および日本の宗教界との比較の中で」

第6回: 2000年10月7日

    秀村研二(明星大学)

    「韓国のキリスト教をめぐる問題 ----儒教とシャーマニズムの間で」

    小川順敬(駒澤大学)

    「沖縄の主の丘教会について ----調査報告」

第7回: 2000年10月28日

    松島公望(横浜国立大学大学院生)

    「あるプロテスタント教会における日本人クリスチャンの宗教的人格形成 ----神     学生を通して捉えられる信仰深化(発達)課程」

    星野靖二(東京大学大学院生)

    「植村正久における「宗教」 ----キリスト教と他宗教の捉え方をめぐって」

第8回: 2000年11月25日

    待井扶美子(東北大学大学院生)

    「東北地方のキリスト教会に見る墓地管理と教派を超えた活動」

    田島忠篤(天使大学)

    「奄美大島におけるカトリックの展開」

第9回: 2001年4月28日

    シュー・ポール (Paul SHEW)(聖学院大学総合研究所特任研究員)

   「 20世紀前半の日本における、クラシック・ペンテコステ運動の源とその発達」

"The roots and initial development of Classic Pentecostals in twentieth century Japan"

 

            文責:プロジェクト世話人 池上良正(駒澤大学文学部)


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