島薗進 1992「情報化と宗教: 現代宗教の変容」『思想』817: 189-201。
現代の宗教ブームを「新新宗教教団の発展」「呪術=宗教的大衆文化の興隆」 「新霊性運動の成長」の三つに分けて概観し、それぞれと情報化との関わりに ついて考察する。「情報化」をメディアによるコミュニケーションの拡大と 捉え、その問題点は、メディアを通じての信仰形成の重視によって生じる 持続的な共同体的人間関係の希薄化、幻想の拡大に伴う現実認識の弱体化、 心理統御技法におけるコミュニケーションの機能化・部分的特殊化、にあると 指摘し、とりわけ新霊性運動が今後どのような新しい倫理、信頼関係を育てて いくかに注目する。
(Tue Jul 14 16:32:29 1998 Hiroyuki KUROSAKI)