西垣通 1995 『聖なるヴァーチャル・リアリティ: 情報システム社会論』東京: 岩波書店。
情報の抽象化・形式化をすすめる権力を外部化した装置としての コンピュータ、その最先端技術であるヴァーチャル・リアリティは、 複数の人間が体験を共有する〈サイバースペース〉を生み、そして、 現実の身体感覚に結びついた自己よりもいっそう根源的かつ高次な自己、 「聖なるヴァーチャル身体」への渇望を生む。 だが、21世紀の地球規模のサイバースペースは、 アナーキーな〈資本〉の権力が「聖なるヴァーチャル身体」を僭称し、 〈市民〉の小さな権力欲が組織化されて巨大な暴力装置と化す危険性がある、 と予測する。
(Fri Jul 10 20:34:15 1998 Hiroyuki KUROSAKI)